中小企業向け、YAMAHA-VPNルータの2枚看板といえば、[RTX1210][RTX830]になります。どちらも超人気機種で爆発的に売れているようです。

YAMAHAさんのネットワーク機器はとにかく、安定感が抜群で、10年くらいは平気で稼働します。他のYAMAHAネットワーク機器との相性も抜群で、GUIで機器や端末の管理ができるのが大きな特徴です。

希望小売価格を見ると、RTX1210が125,000円(税別)、RTX830が75,000円となっていますが、この価格の違いについて詳しくみていきたいと思います。

目次

RTX1210とRTX830を比較

まずは、2つの機器について比較してみます。

RTX1210とRTX830のフロント部分を比較(ポートの数に違いがある)

下記の表をご確認下さい。

RTX1210RTX830
LANポート3ポート ※LAN1ポートは8ポート(L2スイッチ)1ポート ※LANポートは4ポートL2スイッチ
WANポート任意のLANポートを使用可能1ポート
ISDN S/Tポート1ポート(終端抵抗ON/OFF可能)
RAM256MB256MB
内蔵L2スイッチ機能ポート分割、LAN分割(ポートベースVLAN)、
ポートミラーリング、リンクアグリゲーション(冗長化のみ)
ポート分離, LAN分割(ポートベースVLAN), ポートミラーリング
閉域網サービス用機能タグVLAN、IPv6マルチキャスト(MLDv1、MLDv2、MLDプロキシ)タグVLAN, IPv6マルチキャスト(MLDv1, MLDv2, MLDプロキシ)
タグVLAN(IEEE 802.1Q)LANごとに32ID, PPPoE over タグVLANLANごとに32ID
PPPoEセッション数405
対応回線およびサービス網FTTH(光ファイバー), ADSL, CATV, ISDN(BRI), 高速デジタル専用線(64kbit/s, 128kbit/s), ATM回線, IP-VPN網, 広域イーサネット網, 携帯電話網, フレッツ・サービス, IPv6 PPPoE/IPoE(フレッツ光ネクスト回線), データコネクト(フレッツ光ネクスト回線)FTTH(光ファイバー), ADSL, CATV, ATM回線, IP-VPN網, 広域イーサネット網, 携帯電話網, フレッツ・サービス, IPv6 PPPoE/IPoE(フレッツ光ネクスト回線), データコネクト(フレッツ光ネクスト回線)
WANプロコトルPPP, PPPoE, MP(i)PPPoE
スループット最大2.0Gbit/s最大2.0Gbit/s
IPsecスループット最大1.5Gbit/s最大1.0Gbit/s
VPN対地数(IPsec) 10020
VPN対地数(L2TP/IPsec) 10020
VPN対地数(最大設定可能数) 10020
動作環境条件周囲温度0〜45℃, 周囲湿度15〜80%(結露しないこと) 周囲温度0〜50℃, 周囲湿度15〜80%(結露しないこと)

こんな感じです。

RTX1210に存在して、RTX830に存在しない機能はほとんどありません。

RTX1210の優位性としては、対応回線にISDNがあること。IPsecのスループットが大きく、データの処理速度に優位性があります。

ISDN網を使用して、回線の障害時にバックアップを利用するような設定が可能になります。

また、VPN対地数にも差があり、拠点間接続(IPsec)の場合は、RTX1210は100なのに対して、RTX830は4となります。小規模であれば問題はないですが、中規模から大規模になるとRTX830では厳しいでしょう。

また、L2TP/IPsec(リモートアクセス)についても対地数に違いがあり、RTX1210は最大100、RTX830は最大20までとなります。

IPsec・L2TP/IPsecを併用する場合は、その合計数でみなければならないので、注意が必要です。

小規模かつ、リモートアクセスの設置台数もそこまで多くないのであれば、RTX830で十分対応可能です。

LANポートの数を見てみると、RTX1210は、3ポート※LAN1ポートは8ポート(L2スイッチ)、RTX830は、1ポート※LANポートは4ポートL2スイッチとなっています。

小規模なネットワーク、1対1からなるVPN構成であれば、RTX830で十分構築することができますので、機能的な部分での弊害はほとんどありませんが、センター拠点(本社)と拠点(支社)間でVPNを構築する予定があるのであれば、RTX1210とRTX830の組み合わせが望ましいです。

RTX810と比べて大幅に性能が向上

RTX830は、前世代のRTX810と比べて、大幅に性能が向上しています。

参考までに比較してみましょう。

RTX810RTX830
スループット1Gbit/s2Gbit/s
VPN対地数620
VPNスループット200Mbit/s1Gbit/s
NATセッション数10,00065,534

特質すべきは、処理能力とVPN対地数です。

RTX810の後継機になるRTX830は、よりRTX1210に近づいた感覚があります。

さらに、マルチポイントトンネル機能が加わり、センター拠点をRTX1210、拠点をRTX830にすることで、VPNを一つの設定で実現することができます。以降、拠点を追加した場合は設定作業が簡素化されるため、手間が軽減されるようになりました。

さらに、RTX830には、最新のLANマップ機能も搭載されているので、ネットワーク内の状況が可視化でき、トラブルや問題が発生した際には、迅速な対応が可能になります。

RTX830のLANマップ機能1
RTX830のLANマップ機能2

中小・小規模企業では、RTX830で十分

このように、RTX830は高機能化しており、十分な機能を兼ね備えています。VPNの問題(対地数)だけ考慮する必要はありますが、基本的な機能と処理能力は十分だと言えます。

繰り返しになりますが、YAMAHAネットワーク機器は、非常に丈夫に設計されているため、一度設置してしまえば、10年は現役でいることも決して珍しくありません。

YAMAHAのネットワーク機器を導入し、社内ネットワーク環境を安定的で安心なものにしてみてはいかがでしょうか。


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